実家じまいの全手順ガイド ── 何を・どの順番で・誰に相談するか
最終更新:2026年7月 ※制度・税制は執筆時点の情報です。最新は必ず公的機関でご確認ください。実家じまいで一番多い失敗は、金額の失敗ではなく順番の失敗です。「先に壊してしまって税金が上がった」「片付けを自力でやって半年消耗した」「登記をせずに放置して手続きが複雑になった」──どれも順番を知っていれば防げたものです。このガイドでは、相続発生から引き渡しまでを5つのステップに整理します。
ステップ1:現状を三つの書類で把握する
最初にやるのは片付けでも査定でもなく、書類集めです。必要なのは主に次の三つ。
- 登記事項証明書(登記簿謄本):法務局で取得。名義が誰か、抵当権が残っていないかを確認
- 固定資産税納税通知書:毎年春に届くもの。評価額と年間の税負担がわかる
- 権利証(登記識別情報)・測量図など:実家のどこかに保管されていることが多い
名義が亡くなった親のままか、さらに前の世代(祖父母)のままかで、この後の難易度が大きく変わります。
ステップ2:相続登記 ── 2024年4月から義務です
2024年4月1日から相続登記が義務化されました。ポイントは三つです。
- 不動産の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請が必要
- 正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になり得る
- 過去の相続(義務化前に発生したもの)も対象。こちらは猶予期間が設けられています
「兄弟の話し合いがまとまらないから登記もまだ」という方が非常に多いのですが、遺産分割がまとまらない場合でも「相続人申告登記」というより簡易な手続きで義務を果たす方法があります。相続人が多い・音信不通の人がいる場合は、早めに司法書士へ相談してください。ここを放置すると、次の世代がさらに複雑な「数次相続」を背負うことになります。
出典として法務省の相続登記義務化の案内ページへのリンクをここに設置してください(公的リンクはSEO・信頼性の両面で有効)。
ステップ3:出口を決める ── 売る・貸す・壊す・持つ
登記の目処が立ったら、出口の検討です。判断基準を簡単に言うと:
- 売る:住む予定がないなら第一候補。市場に値段を聞くのが最初の一歩
- 貸す:建物が使える状態で、現金化を急がない場合。ただし賃貸は事業であり、修繕・空室・管理の負担を収支で確認してから
- 壊す:建物に値段がつかない場合の選択肢。ただし売却の目処が立つ前に壊すのはNG(次項)
- 持つ:住む可能性があるなら合理的。ただし「期限を決めて」持つこと
迷う場合は実家どうする診断で自分のケースの向き不向きを確認してください。
ステップ4:「先に壊す」が危険な理由 ── 住宅用地の特例
住宅が建っている土地は「住宅用地の特例」により、固定資産税の課税標準が大きく軽減されています(小規模住宅用地で最大6分の1)。建物を解体して更地にすると、この特例が外れ、土地の固定資産税負担が数倍に増えるのが一般的です。
さらに、傷みの激しい空き家を放置した場合も安心はできません。自治体から「特定空家等」(または管理不全空家)に指定され勧告を受けると、建物が建ったままでも特例の対象から外れます。つまり:
- きれいに壊しても税負担は上がる
- 放置して荒れても税負担は上がる
だからこそ「売却・活用の計画を先に立て、壊すのは最後」が原則になります。解体を検討する場合は、まず解体費用シミュレーターで相場観を持ち、必ず複数社の見積もりを比較してください。
ステップ5:遺品整理と引き渡し
体験談で最も多い後悔が「片付けを甘く見ていた」です。一軒家の遺品整理は、自力でやると週末通いで数ヶ月〜半年かかるのが普通で、遠方ならなおさらです。業者に依頼した場合の費用は間取り・物量によって大きく変わりますが、数万円〜数十万円が目安。貴重品や権利証の捜索も同時に依頼できる業者もあります。
時間と交通費、そして精神的な消耗を考えると、「思い出の品の選別だけ自分でやり、残りは業者」が経験者の多くがたどり着く落とし所です。
まとめ ── 順番を間違えないための一枚
- 書類集め(登記・納税通知書)
- 相続登記(3年以内・義務)
- 出口の決定(売る・貸す・壊す・持つ)── 迷ったら診断へ
- 査定・見積もり(壊すのは売却の目処が立ってから)
- 遺品整理→引き渡し